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いつも張り紙が気になる老舗の伝説 天ぷらだるま(中央区大名)

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  2020/03/03   ※記事公開時の日付です

もはや愛しかない

 

 

今日もだいぶんインパクトのあるファニーな張り紙だった。

 

コピーライター&直筆はたぶん女将さんだろう。

 

昨年、まだタピオカ屋さんのモッチャッムに大行列ができていたころ、大将の野守さんが体調を崩して店を休んでいたときはまるで日めくりカレンダーのように更新されていた。

 

常連客が心配のあまり「はげましノート」をつくったぐらいだ。

 

「そろそろ復活します」

 

その張り紙に喜んだのはたぶん昨年の11月ぐらいだったと思う。

 

 

大将は毎朝、そして夕方、スーパーカブに乗って買い出しに行く。

 

いつもの白い割烹着に白ゴム長、白いヘルメットにサングラス。

 

もう80歳近いとは思うがカッコイイ。

ちょっと安心した年明け

 

たまたま今年1月、大名紺屋町から店のある警固方面へ国体通路沿いを歩く大将と出くわした。

 

 

   「お久しぶりです、お元気ですか」

 

 「ああ、どうも」

  

 「その後、お加減はいかがですか」

  

 「いやね、ちょっと前に百旬館の前で倒れちゃって」

 

 「ええ!」

  

 「軽い心筋梗塞だったんだけど、いまこうやって店が休みの時間に歩いてリハビリしとります」

 

 「ああ、そうだったんですね」

  

 「お父上は元気にラジオでしゃべってますね」

 

 「父も脳梗塞で倒れたんですよ」

 

 「知ってますよ、ずっと聞いていますから。だから私もがんばるんです」

 

 

先達たちには頭が下がりっぱなしだ。

 

 

安定と癒し

3月3日、久しぶりに店に顔を出したらトップの張り紙だった。

 

咲子さんと一緒に引き戸を開けて入る。

 

そして、びっくり。

 

左側に石膏でかたどった大将が鎮座していた。

 

【さわらないでください】

 

まあ、いろいろと理由があるのだろう。

 

 

 

お昼時を外したので客はオイラたちのみ。

 

女将さんに店の中央のテーブル席に招かれる。

 

ふたりは「肉定食 ごはん中」をオーダーした。

 

定食のラインナップは豚肉、鶏肉、イカ、野菜2種類。

 

 

 

ここの定食のみそ汁はとにかく熱い。

 

「中央区激熱みそ汁ランキング」のベストスリーに入る。

 

天ぷらのつけ出汁もほどよい甘みがあって好みの味だ。

 

テーブルのめっぽうしょっぱい「塩辛」と「高菜の古漬け」の細切りは取り放題。

 

東区の「だるま」同様に半世紀近く変わらない「博多大衆天ぷら」のスタンダードサービスだ。

 

大将は客の食べるタイミングを見計らって「次」を揚げてくれる。

 

昔から変わらないスタイルだ。

 

変わったと言えば、大将の老眼鏡ぐらいだろう。

 

今日の野菜2種類は、いつもの茄子の半切りと6分の1に串切りの玉ねぎだった。

 

私たちが呼び水になったのであろうか、次々と引き戸を開けて客が入ってくる。

 

老夫婦、若い男性、中年の女性、さまざまだ。

 

 

伝説は伝説のままに。

 

 

その昔、雑誌の取材でお世話になったのがはじまりだ。

 

この店のルールはいくつかある。

 

従業員サイドのルールは天ぷら鍋の前に立つ大将の後ろを通るときには、大将の背中に差し掛かる2歩前から「通ります」と声を出して伝えなければならない。

 

 

客側の暗黙の掟。

 

まずは定食を食べよ。いきなり単品とお酒の注文はNG。

 

注文時はご飯のサイズを「大」「中」「小」で明確に伝えよ。

 

「塩辛」と「高菜」は絶対に残すな。

 

 

基本的には女将さんが”歩くルールブック”なのだが、大将、ご主人に対する尊敬の念はゆるぎない。

 

そこは営業の端々から伝わってくる。

 

張り紙にしてもそうだ。

 

 

だるま伝説はいくつかある。

 

これは大将から直接聞いた話だ。

 

 

「その昔、ヤ●ザが数人やってきたことがあったんだけど、そいつら席につくなり単品をいろいろとビールを頼んだんだよ。でもさ、ウチのヤツは一歩も引かないでさ、定食を食べてもらわないとその注文は訊けないルールだと、ピシャっと言い聞かしたんだよ。ヒヤヒヤもんだったけど、結局追い返したもんな」

 

うんうん、女将さんなら言いそうだ、そう思ったものだ。

 

あともうひとつ。

 

これはオイラの勘違いだったのかもしれない。

 

10年ほど前、たまたまカウンターで食べていた時に細身のタクシー運転手らしき男性が入ってきた。

 

彼はカウンターの隅に座ると女将さんに「ごはんの小で」と。

 

そう注文するとカウンターの「塩辛」と「高菜」をそれぞれ小皿に盛った。

 

普通ならばここで定食をオーダーしていたら、みそ汁、ごはん、の順番で差し出されるわけだが……。

 

「はい、ごはんの小ね」

 

女将さんはそういって厨房の奥へ。

 

男は「塩辛」と「高菜」で米粒を食べはじめた。

 

いっこうに、みそ汁も、天ぷらも出てこない。

 

わずか数分で男はズボンのポケットに手を突っ込み小銭をまさぐり

 

「ごちそうさま」

 

と勘定をカウンターに置いて出ていったのだ。

 

まさかの!まさかの!「ごはんの小」だけ!

 

あれは夢マボロシだったのだろうか。

 

もうひとつ、極めつきの伝説はあるが、それは店で天ぷらを食べながら話すのがルールだろう。

 

たぶん。

 

あ、咲子さん、今度こそーっと教えちゃるね。

 

 

 

くりしん

でぶグルメライター

昭和40年代生まれの自称“でぶグルメライター”。酔っ払ライターでもある。飲食店コンサルティングも手がける

 

■店舗情報

店名 天ぷら だるま
ジャンル 天ぷら
TEL 092-714-3015
住所 福岡県福岡市中央区大名1-2-15
交通手段 西鉄天神福岡駅より徒歩10分
営業時間 11:00(土日12:00)~21:00
定休日 不定

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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