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福岡博多 美食の流儀 #001「博多名代 吉塚うなぎ屋」 博多名代 吉塚うなぎ屋(博多区中洲)

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  2020/01/14   ※記事公開時の日付です

福岡市内で最も歴史がある飲食店

福岡市内に江戸時代創業の飲食店は1軒も残っておらず、最も古い歴史を持つのが創業明治6年(1873年)の「博多名代 吉塚うなぎ屋」。

 

創業地は店名にあるとおり、現在の博多区吉塚本町・東公園あたりで、景勝地「千代松原(ちよのまつばら)」に囲まれた千坪の土地に二階建ての建物が立っていた。鰻は注文があってから、割き、串打ち、焼きに取りかかるため、客たちは松原を散策したり店内に設えられた風呂でくつろいだりしながら出来上がりを待ったという。

 

大正初めに中洲に2号店を開店するも、太平洋戦争時の空襲で吉塚、中洲ともに焼け野原となり店舗も焼失。昭和25年(1950年)に現在の中洲5丁目で商売を再開し、昭和28年(1953年)に中洲2丁目の現在地に店舗を移し、以来、福岡博多を代表する老舗として福岡市内外ひいては海外からのファンの舌を楽しませている。

 

鯉の洗い

 

品書きにはうなぎ丼、うな重のほか、鰻屋の一品料理の定番「素焼(白焼き)」「うまき(蒲焼を包んだ出し巻き卵)」「うざく(鰻と胡瓜、ワカメの酢の物)」「きも焼き」なども並ぶが、私の定番は「鯉の洗い」。

 

鯉の洗いを酢味噌で

 

「洗い」とは、薄切りにした魚を水やぬるま湯で洗って脂分や臭みを抜き、氷水にさらして身を引き締めて提供する調理法のこと。

 

美しく皿に盛られた鯉の切り身を酢味噌につけていただくと、シャキッとした歯ざわりが心地よく、さっぱりとした味わいが口の中に広がる。

 

鰻の出来上がりを待つあいだの束の間の愉楽。

 

うな重

 

蒲焼と御飯が別の器にはいった「うな重」。

 

吉塚うなぎ屋の蒲焼は、鰻を焼きながらもみ叩く「こなし」と呼ばれる技法が用いられ、この手間により、口に入れたときに鰻がホロホロとくずれ、タレと混然一体となってとろけていく。

 

ふっくらと炊き上がった御飯、上質な出汁が香る肝吸い、塩加減が絶妙なお新香。いつ来ても変わらない安定感と安心感がたまらない。

 

広島・呉の銘酒「千福」

 

酒のメニューも充実しており、日本酒でいえば石川県白山市の「天狗舞」や岐阜県多治見市の「三千盛」、大分県国東市の「西の関」などの銘柄も揃うが、私の定番は広島県呉市・三宅本店の銘酒「千福」。米本来の柔らかな甘みと優しい口当たりが特徴で、タレがよく絡んだ蒲焼と御飯によく合う。

 

店内を見渡すと店員さんが抜群の身のこなしでテーブルを回り、料理を運び、注文をとり、器やグラスを片付けている。見上げると美しい木目の杉板で天井が組まれている。そしてシンプルなデザインながらも品のある器やグラスがテーブルに並んでいる。

 

「料理店やレストランは総合芸術の作品であり舞台である。」

 

提供される料理だけでなく、それらが盛り付けられた器、外観と内装、そして接客といった全ての要素が満たされた、素晴らしい店がこの街にはたくさん存在している。

 
そうした料理店、レストランをこれから一店ずつ訪ねていきたい。

 

博多川と柳並木と吉塚うなぎ屋

 

■参考文献■

『月間はかた』2017年2月号~7月号 博多老舗ものがたり「博多名代吉塚うなぎ屋」篇


※記事の内容は取材時点のものです。

西山健太郎

ライター

ウイスキートーク福岡、アートフェアアジア福岡といったイベントの広報を担当するほか、独自の切り口で福岡の飲食文化・芸術文化に関する情報発信を行っている。

 

■店舗情報

店名 博多名代 吉塚うなぎ屋
ジャンル うなぎ、和食、日本料理
TEL 092-271-0700
住所 福岡県福岡市博多区中洲2丁目8-27
交通手段 地下鉄中洲川端駅5番出口から徒歩3分
営業時間 11:00~21:00(L.O.20:30)
定休日 水曜

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