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実録グルメドラマ「チャーハン放浪記」 VOL.4 トッピングの美学 餃子のテムジン大名本店(中央区大名)

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  2019/11/30   ※記事公開時の日付です

実録グルメドラマ「チャーハン放浪記」

これは私の人生において、よくあるといえばよくあるドラマである。
よく晴れた土曜日。
普段ならば決して昼酒なんてするタイプではない。
照りつける陽射しに映えた赤い暖簾がきっとそうさせたのだ。

ひとりカウンター席に着いた。
他に客はいない。
キッチンでは中年の男がギョーザを包んでいる。

彼の視線の先にあるのはテレビ。
手元を見ずに、一つひとつ器用に
この場所で50年以上続く老舗の演出だ。

「瓶ビール1本、きもてき、ギョーザは10個、お願いします」

脳みそが勝手に言葉を発した。
いっさい、よどむことなく。
瓶ビールと一緒にこの店の逸品がやってきた。
手酌で舌と喉を湿らし、しばし「きもてき」を愛でる。
一枚一枚、箸で持ち上げ、裏を見ては表も見る、表を見ては裏も見る。

うん、うん、いいね、うん。

いちばんレアそうな一枚を舌の上にのせた。
ちょうどよい。
サイズも、そして温もりも。
咀嚼することなく舌を引いて口中に格納する。
だからといってどうだというわけではない。
ただ、そうやって「きもてき」を感じたかったのだ。
歯に戻して噛み切るとあふれ出る鉄分の汁。
黄金色したビールの勢いを借りて胃の腑に落とす。

「はい、おまちどう」

ギョーザだ。
テーブルに新しく白い花が咲く。

「あ、すみません。やきめし、ください」

「はい、ありがとうございます。カウンターさん、追加でやきめし~」

テムジンのやきめし――。
ギョーザ、きもてき、ビール、ギョーザ、きもてき、ビールと楽しみつつ、これまで人生で食してきた焼飯をフラッシュバックしながら想像を逞しくする。
5分間の妄想トリップ。
ゴールは向こうから近づいてきた。

精一杯の彩り、器とのコントラスト。
つやつやとした光沢と適度なコゲ。
赤い福神漬けではなく、つぼ漬け。
はたして「やきめし」のビジュアルとしてはどうなのだろうか。

正直に言おう。
この日の私の脳みそは「醜い」と感じてしまった。
どう伝えればいいのか。
「醜さ」を語るということは「美しさ」を語ることと同じだ。
いや、語るのではない、ビジュアルとして見せればいい。

ああ、やきめし界のモナリザ、アフロディーテの誕生だ!

この爆発した芸術を生み出したのは、やはり才能なのか!

と、一気に興奮するも、一瞬でダウナーに。
そしてトッピングしたものを元通りになおすのだ。
何でも載せやすい「やきめし」というフィールドが、私をそうさせるのか。

これは私の人生において、よくあるといえばよくあるドラマである。

くりしん

でぶグルメライター

昭和40年代生まれの自称“でぶグルメライター”。最近できた趣味は太ること

 

■店舗情報

店名 餃子のテムジン 大名本店
ジャンル 餃子
TEL 092-751-5870
住所 福岡市中央区大名1-11-4
交通手段 西鉄福岡天神駅より、徒歩5分。
営業時間 17:00~26:00 土日祝はランチタイム12:00~15:00も営業
定休日 火曜

 

 

 

 

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