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福岡のレジェンドラーメン店「住吉亭」のネギは今もやっぱりマウンテン! ラーメン住吉亭(博多区博多駅南)

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  2018/12/10   ※記事公開時の日付です

 

 

 

創業50余年の豚骨ラーメンの老舗。浅いスープのいわゆる「シャバトン」ではあるが、独自の味わいと大量のネギで、唯一無二のラーメンを提供し続けてきた。久しぶりに訪れるこの店、「昔の味」のままなのか、あるいは?

超悪立地の超人気店

年間100軒以上、ラーメンを食べ歩いていた25年前のぼくにとって、『住吉亭』は常に福岡の豚骨ラーメン店のベスト5に入る、行きつけの店だった。

 

以前は福岡市博多区住吉の住吉公園の近くにあったらしいが、ぼくが通っていた頃は、すでに現在の山王公園の近くに移っていた。博多駅からけっこう離れた、まわりに店も少ない、商売には全然向かない立地だったが、いつもお客は多かった。

チャンポンとか餃子のないラーメン店は、当時としてはむしろ珍しかった。

 

昼時、近くで仕事が入ると、当時、自転車で移動していたぼくは、ピーク時を外せるか計算し、行けそうだとなると、「もうすぐあれが食べられる」と朝から心が躍った。それくらい住吉亭のことが好きだった。

毛の付いた豚の頭が寸胴から?

店に入る。床は油ですべる。実際に何度も転びそうになった(今はそこまでの注意は必要ない)。カウンターに座ると、カピバラを彷彿とさせるご主人が(すみません。失礼を承知で書いております)、寸胴のスープを木ベラでゴリゴリとかき混ぜる様子が丸見えである。

辛子高菜は当時、「激辛」と評判だった。今もレシピは変わっていないのだろうが、今だと「辛め」といったところか。

 

ラーメンの元ダレの横は黒ごまである。そして左は高麗人参が浸かった酢だという。いつから置かれるようになったのだろう。

 

時折、スープから浮かび上がってくるのは豚の頭で、それは皮付きのまま、いや、ところどころ毛が生えていて、「これ、ダメな人にはダメだろうなあ」といつも思っていた。

今もラーメン作りのすべてをカウンターから見ることができる。

 

おそらく短時間で仕上げる浅いスープは、だから獣の臭いが強く、しかし、それを大量のネギで中和すると、なんとも独特の、ジャンキーな味わいになったのだ。化学調味料もドドンとしっかり効いていた。

つぶしたニンニクがよく合うラーメンだが、営業マンだったぼくにはなかなか入れる機会がなかった。

 

もちろん、そんなもの、美食ではない。悪食(あくじき)である。でも、なぜかその魅力に吸い寄せられて、何度も足を運んでしまう。そんな不思議な力を持ったラーメンだった。

経営者が変わってから……

いつからか、そのご主人の姿が店から消えた。賭博に走って店を取られたとか、体が悪くて親戚に引き継いだらしいとか、いくつかの噂を聞いたが、もちろん、それを確かめることはしなかった。

 

スープの骨から皮がなくなり、あのベッタリと唇にまとわりつくような脂は消えたが、それでも野性味を大量のネギでねじふせてバランスをとる、住吉亭独自の味わいが懐かしくて、年に一度くらいのペースで足を運んだ。

 

また、経営者が変わったと言う人がいたが、事の真偽は定かではない。ただ、言えるのは、ラーメン好きの間でそんなことが話題に上るくらい、福岡のラーメン界では重要な存在だ、ということだ。

やはりネギは山盛りだった

「そう言えば、ここ3、4年、住吉亭に行ってないな」と気づいたのは、東京で暮らす友人が「洗練されていない豚骨ラーメンが食べたい」と言ったからだ。もちろん、「良い意味で」。ぼくらは車を走らせて住吉亭に向かった。昼の12時を回っていたが、運良くカウンター席に座ることができた。

 

ぼくはラーメン(650円)を。友人はワンタン麺(800円)を。

これがデフォルト。ネギを大盛りにしたら、同じ山でもチョモランマである。

 

ワンタンはかなり大きめ。肉もたっぷりだ。150円アップだから値ごろ感がある。

 

ネギ大盛りやキクラゲ大盛りにしたら、どんなことになるかは重々知っているので避ける。そうそう、ぼくらの後に店に入ってきた初来店らしきビジネスマンが「キクラゲ大盛り」を注文し、運ばれてきたはいいが、その大量さになかなか麺に到達できないため、別の皿にキクラゲを移す姿を見て、ちょっとだけ気の毒になった。

ネギとキクラゲの大盛りが有料になったのは2014年のことである。100円分とは思えない量が追加される。

 

さて、住吉亭のラーメンは、今もネギが多い。キクラゲも多い。浅いスープ、化学調味料、それはそれで他にはない、オリジナリティの高いラーメンである。ただ、これは昔の住吉亭の味ではない。あの無骨なスープではないから。

麺はスタンダードな細麺だ。

 

替え玉にもネギが入ってくる。

 

いや、もちろん、それでいいのだ。味は時代や作り手によって変化するものだ。ぼくの記憶とは違うというだけの話である。

 

いずれにせよ、ラーメンを愛する人には、一度は食べてもらいたいラーメンだ。この場所に、今もこのラーメンがあることに、心から感謝したい。

やはり、面構えがいい。

元木哲三

ライター

鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。

 

■店舗情報

店名 ラーメン住吉亭
ジャンル ラーメン
TEL 092-411-6868
住所 福岡市博多区博多駅南5-5-1
交通手段 JR竹下駅から徒歩20分
営業時間 11:00~17:00
定休日 日曜

 

 

 

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