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「良い店とは?」について考える@和酒 厨家 和酒 厨家(南区向野)

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  2018/11/19   ※記事公開時の日付です


 

 

 

「料理が抜群においしいのに、あんまり知られていない店があるんです」

 

そんなメールとともに、とある飲食店の情報が送られてきた。

 

送り主は、その店の常連客のようだ。

 

メッセージには「お客があまり入っていないんですよ」と続けられている。

 

おいしいのにお客があまり入っていない……?

 

漠然とした不安と、ひとにぎりの興奮とともにさっそく向かった。

一見さんお断り……というわけではない。

向かったのは大橋駅から徒歩12分のところにある「和酒 厨家」。

 

午後18時30分。

 

扉を開けるとオーナー夫婦がパッと顔をあげる。

 

「予約してないんですけど、大人2人と子ども2人、入れますか?」
「どうぞ」

 

うん、なんだかちょっとそっけない。

 

場違いだったのかな…と、ドキドキしながら小上がりの座敷に座る。

 

この日はちょうど、ソフトバンクホークスとカープの日本シリーズ戦だったから、もしかしたら試合に集中していたのかもしれない。

 

メニューはこちら。

 

 

郷土料理が多めです。

 

 

まだ早い時間ということもあり、店内には私たちだけ。

 

「お客があまり入っていない」というメールの文面が頭をよぎる。

 

「こんばんは~」と、女将さんがにこやかに席にきて、子ども用の取り皿とカトラリーを出してくれた。

 

どうやら、歓迎されていないわけではないようだ。

 

まずは、お通しで一杯。

サトイモと厚揚げに味噌ダレがかかっている。

 

 

博多酢もつ(400円)。

かなり余談だが「福岡に帰ってきたら必ず酢もつを食べる」と、スピッツのVo.草野さんが以前何かの番組で話していた。

 

 

 

「栃尾の油揚げ」(580円)は、新潟県の名物であり私の好物でもある。

 

お取り寄せをするとここよりも値段が高い。

 

それだけとっても、この店の価値が自分の中でぐんと高くなる(ええ、ゲンキンな女です)。

ハーフサイズ(300円)もある。

 

 

京風だし巻き玉子(480円)。

 

 

熱燗も登板。

 

 

そうこうしていると、私たちのほかに2組のお客が。

みんな試合の行方が気になっている。

 

 

カウンターに座った夫婦は、ボトルキープのお酒を手にしていた。常連客のようだ。

 

あそこに座ったら私も店主と会話ができたのかしら。

 

そんなことを考えながら様子を見ていると、

 

「お子さんはいくつ?」

 

2人の子どもを連れていた私に、常連客(と思われる)の女性がおもむろに話しかけてきた。

 

「うちの孫はねえ……」
「ここは初めてくるの?」
「おいしいでしょう?」
「おすすめはひれかつなのよ」

 

と、どんどん会話が続いていく。

 

カウンターの中にいる店主や女将は「ねえ、そうよね」と話をふられれば相槌をうつ程度。

 

なるほどこういうスタンスなのかと、ひとりごつ。

歓迎されていないのかもしれないぞ…と勝手に不安に思っていたけれど、適度な距離感を保っているだけなのかもしれない。勝手に仮説を立てる。

いよいよ二枚看板のお出まし

ここで「牛たんしゃぶしゃぶ」(1人前900円)を注文。

ネギ、白菜、水菜がたっぷり。

 

 

ピントを合わせる対象が間違っているが、牛たん。美しい。

 

 

鍋をもってきた店主に「この出汁は何でとっているんですか」と訊ねると「かつおがベースで……あとはいろいろと入れています」とはにかみながら言葉少なげに教えてくれた。

 

「言葉少なげ」とは書いたが、嫌々という感じではなく、本当に「これがすべてです」という感じ。ああ、そこまで話が得意なタイプではないのかもしれない、なるほどなるほど、と、またひとりごつ。

野菜が煮えてきたら牛たんをさっとくぐらせる。

 

 

ユズゴショウをちょっぴりつけていただきます。

 

 

そして、先ほど常連(と思われる)の女性が「おいしい」と教えてくれた「ひれかつ」も頼んでみた。

1枚220円。

 

 

箸で切れそうなほど柔らかい。

 

ソースをつけなくても、上品な豚の甘みだけで十分おいしい。

 

確かにこれは常連客がおすすめするだけある。そういえばメールをくれた方も、ひれかつをプッシュしていた。

 

 

帰り際も、店主よりも常連客の夫婦がいろいろと話しかけてきてくれた。

 

結局、店の人とはたいした会話を交わさなかった。

 

この店はいわゆる「商売っ気のない」タイプなのかもしれないぞ、とまたまた勝手に結論づける。

 

でも、それでいい。

 

その代わりに、常連客がいるのだ。

 

良い店の条件は数あれど、そのうちの一つは「その場所を、料理を、愛する客がいる」ということだと思う。

 

それがある限り、店は続いていくだろう。

 

頼まれてもいないのに「好きだから」という理由だけで宣伝する人がいる。

だから私も、“勝手に宣伝をする”客の一人として記事を書く。

内川美彩

ライター

あるときはライター、あるときは主婦、あるときはママ……その実態は大盛りハンター。唐揚げと白米に目がない。口癖は「痩せたい」。

 

■店舗情報

店名 和酒 厨家
ジャンル 居酒屋、小料理屋
TEL 092-555-6380
住所 福岡市南区向野1-4-2 井手ビル1階

交通手段 西鉄大橋駅から徒歩12分
営業時間 11:30~14:30(LO14:00)、17:30~23:00(LO22:20)※金、祝前日は~24:00 ※土曜は17:30~24:00(LO23:20)
定休日 日曜

 

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