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八兵衛が仕掛けた驚嘆の祭典を実食レポート! 焼とりの八兵衛 Bekkan(博多区住吉)

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  2017/08/16   ※記事公開時の日付です

2017年、世間がお盆休みに入ったばかりの8月11日、『焼とりの八兵衛 Bekkan』(博多区住吉)でとんでもないイベントが開催されました。

 

『Pari’s シェフたちの夏休み2017』

 

イベントのテーマは「料理は楽しい」。まさにこのテーマ通りの3時間半となりました。

 

当日、実際に料理をいただきながら、自分用のメモがわりにSNSで配信したものを、ここでまとめておこうと思います。最後にぼくの雑感を書きましたので、そこまで読んでいただけると光栄です。

 

どんなすごいシェフたちが集結したのかは

ここにまかせるとして、さあ、さっそく珠玉の料理を楽しみましょう。

 

開始10分前。

カウンター席に着くと、目の前には和紙とお箸が。三つ折りの紙を開くと、デザートまで含めて全13品のメニュー名が並んでいます。それらのほとんどが「本かつお」とか「平目」とか、究極は「牛」みたいに、とことんシンプル。つまりこの文字からは料理の想像がつかない。いいですね。極上のミステリの最初のページをめくるようなトキメキがあります。

今日は飲み物とのペアリングも楽しみどころ。

 

まずは氷だしの八女伝統本玉露。何度か経験していますが、この旨味はとんでもないレベルです。

 

八島社長、内臓が外に出てきそうなほど、緊張されているそうです。堂々としておられて、全然そのようには見えませんが。

 

でも、なんというか、これほどのところに至っていらっしゃるのに、緊張されるということは、それだけ挑戦されているということで、あらためて尊敬の念を強くしています。

 

出てきましたね、一品目。『生ハムとえだまめ』。

 

スペインの豚の生ハムと、糸島の茶豆をお茶で茹でたもの。夏を感じる小品で幕が開きます。

 

2品目は『トロキャビア』。

 

ありそうだけど、しかし食べるのは初めて。ロワールのキャビアと対馬のマグロ。むむ、これはいい。旨味のシナジーがグングン発揮されています。

が、マッチングという意味では泡だからギリギリセーフ。やはり日本酒がいいでしょう(なんて生意気なことを書いたら、八島社長から「実はキャビアと相性がいいのは日本酒以外にないのです。しかし、格を合わせるという意味で、あえてのシャンパーニュでした」とのコメントをいただきました)。

 

3品目『車海老の冷汁』。

 

赤はトマトとスイカ、海老の赤と合わさって賑やか。ザッツ家庭料理ですよね、冷汁って。それがワインと違いの味を高め合う一品になるなんて!

飲み物はここでシチリアのロゼに切り替わりました。ミネラル感があって、甘さが弱くないのに、いや、しっかりとした重さがあるのに、すっきりキレがある。

むむむ、いいぞ。

 

4品目『本かつお』。

 

カツオは鹿児島で獲れたもの。和がらし、ターメリックでガスパチョをイメージさせる黄色いソース。グレープフルーツ、キュウリにプチトマト。爽やかで美しい味。ソースを啜りたい欲望を抑えるのが大変でした。

これを作った方が選ぶ洋服はきっと、決して派手ではないし、メインは定番なんだけど、そこはかとなくセンスが感じられて、まっすぐなのに個性が浮き立つ、というような感じではないか、と妄想します。

 

酒が、いも焼酎「球」に切り替わります。14度。花の香り。これ、ストレートでスイスイスイと、軽く一本開けちゃうだろうな。つまり即買い必至ってことです。

 

5品目『イカと豚バラ』。

 

呼子のイカの細切りをぐっと束ねて、豚バラで巻いて天ぷらに。テクスチャーが楽しいズッキーニの細切りはイカスミで和え、ルーコラが香りを添えます。

バランスの良い一品。アラカルトで注文できるなら、もう1個食べたい。

ワインもいいけど、エールもいいだろうな。それにしても「八島さんに豚バラで挑戦」というのも楽しい!

 

6品目は『ささみ串』。

 

いよっ、焼き鳥の登場!

博多地鶏、添え物はマンゴーおろし。塩はハワイ産。薄塩、なんと贅沢にも田中三五で焼き上げています。これ以上のタイミングはないだろう、という焼き加減。優しい肉の味を引き立てる塩の旨味。マンゴーと大根おろしって、こんなに素敵なソースになるんですね。

生意気言うと、下に敷いたワサビはないほうがよかったかなぁ、と。

ほら、ずっと「すごい、すごい」って言い続けると、「こいつ、味わかってんのかなぁ」と不安になるでしょ。というわけで、食通っぽくなるという効果も狙って、軽く文句もつけてみるわけですよ、ふふふ。

飲み物は白ワイン、ニュージーランドのソーヴィニオンブランとペアリング。

これもミネラル感が強くて、なるほど、ワサビとの相性がいいなぁ。うむうむ、やっぱりペアリングって楽しいなぁ。酒が飲めて、ほんとによかった。

 

7品目『さざえエスカルゴバター』。

 

オリジナルのブルギニオンバターがいい。パセリ、オリーブオイル。あえてニンニクは使わずに優しく。コンフィ状のジャガイモと。白いソースは玉ねぎの風味。

ぼくは『Sola』のスーシェフ、藤木さんの料理が好みに合うようです。彼女自身のコース料理も体験してみたい。

さて、ワインは南アフリカ、シュナンブラン。爽やかな辛口。フレッシュ、クリーン、塩とミネラル。サッパリします。

 

8品目『フォアグラ』。

 

燻製したフォアグラというのも、恥ずかしながら初めてだと思います。そうですよね、合うに決まってますよね、濃厚な味に燻した香りは。マンゴーのソース。長崎産のトウモロコシ。美しくまとまってます。

ワインはヴァン・ジョーヌ、ジュラの黄色いワイン。樽の香り。わお、赤じゃなくてもフォアグラに合う。むしろ、ぴったり。勉強になります。

 

9品目『平目』。

 

炭火で焼かれたヒラメ。香りづけにオリーブオイルと、いたってシンプルな調理。一匹で40人前以上がとれる型のヒラメですよ。デカい。それを八兵衛の炭火で焼くという、ああ、なんという贅沢。

そしてね、これはうまいよ。身はねっとりと濃い。ヒラメってじっくり炙るとこんなふうになるんですね。ちょっとエロティックです。アラをしゃぶりたい、という下品な欲は隠しておこう。

ペアリングはイタリアのオレンジワイン。なるほど、こういう時に合わせればいいのか。これだけ魚が濃いと白だと負けるものなぁ。でも赤じゃないってときに、とっておきのオレンジワイン。真似したい。

 

10品目『牛』。

 

いまだかつてここまでシンプルなメニュー名が過去にあっただろうか。

フランス、ノルマンディの牛肉。2カ月熟成。しっかりとした噛み応え。凝縮された旨味。和牛とはまったく違った思想で育った、なんというか、とっても健康な牛という印象。ああ、噛むほどにギュンギュン味が出てくる。

口いっぱいに頬張る幸せは、とてもよく理解できるけど、これだけ噛ませるならば、もう少しカットを小さくしてもらえたらなぁ、と。味は文句なしです、はい。

 

同じくイタリアの微発泡の赤ワイン。料理の味にしっかりと応えながら、脂感をキリッと切ってくれるから、次の一口のフレッシュ感が連続してうれしい。泡の力。

 

スパークリング茶。

初めの伝統玉露の2煎めを炭酸で抽出。これはいい。色が楽しい。酸味ですっきり。しかし後から旨味が出てくる。

 

気持ちも舌も切り替わったところで11品目の『ウニ丼』。

 

利尻と礼文のウニ。佐賀の海苔。北海道の米は京都の酢。

ウニは味の濃さでは、この季節の唐津には負けますが、いやいや香りの強さとスルリとした舌触りは素晴らしい。米の硬めの炊き方が絶妙で上品な酢と合わさって、お腹はいっぱいなのにおかわりも食べられそう。いやあ、米の炊き方、ほんと上手だったなぁ。

酒は田中六五。八島さんが「これ」と見込んだ特別なタンク。そう聞いたからかもしれないけど、いつもの田中六五よりも、さらにクリアですっきり。ツルツルと喉を通っていきました。

 

クレームブュルレ。

普通に出てくるわけがないとは思ってたけど、なるほどかき氷か。しかもマッスルかき氷は、いやあ、景気がいいねえ。

 


あら、あの人が!

飲み物は水出しコーヒーです。

 

 

お茶菓子。

 

右から

(1)徳島の柚子のコンフィをチョコレートでコーティングしたものに朝倉山椒。

(2)ゆず、レモン、ライムの3種の柑橘系を使ったタルトショコラ。

(3)チョコのテリーヌの上には白茶の粉が。

(4)赤ワインに2日間漬けたプルーンの中にバニラのガナッシュを入れたカカオポット。ミントの砂糖漬けは濃茶をくぐらせて。

 

「最後は佐野エミコがバシッと決めてくれました! やはり最後のデセールで良否が決まることもあります。相当、プレッシャーだったと思います!」(八島さん談)

 

 

というわけで、雑感。

福岡でこんなイベントが開催されたという事実に、とにもかくにも感謝です。28,000円という金額は東京ならばいざ知らず、福岡だとその絶対値だけで「高い」と断じられて終わりということも予想されます。

 

体験した者として言うならば、この料金は「安すぎる!」。何倍もの歓びを、文字どおりにいただきました。たらふく、いただきました。

福岡は食の魅力で全国から注目されています。確かに「安く旨いものを」という点では、日本屈指の街でしょう。でも、「世界を視野に、常により高い領域を目指す料理人の店」という軸で見た場合、いったい福岡は世界の都市とどれくらい戦えるのだろうか、と少々、やるせなくなるのです。

 

福岡を「真の食の都」とするために、この日のイベントは貴重なヒントであるし、その先鞭となったと感じました。

市長、県知事、リーダーのみなさま、ものすごい財産が、ここにあります。チャンスです。

 

元木哲三

ライター

鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。

 

■店舗情報

店名 焼き鳥の八兵衛bekkan
ジャンル 焼鳥
TEL 092-271-7539
住所 福岡市博多区住吉1-1-9 RJRプレシア博多1階
交通手段 JR博多駅から徒歩10分、西鉄バスキャナルシティ博多前から徒歩3分
営業時間 18:00~24:00(L.O.23:30)
定休日 日曜

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