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室見の老舗食堂が48年続いているワケ 海月(早良区室見)

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人生に何かアクセントがほしい―。

そんな人におすすめなのが「海月」だ。

202号線沿い、夜は赤ちょうちんがぶらさがる、

1968年創業の食堂である。

 

すぐ近くで8年、そのあとはこと地で38年続く

すぐ近くで8年、そのあとはこの地で38年続く

 

 

12月、土曜日の午後9時過ぎ。
初めて訪れたのは“室見忘年会ツアー”の3軒目だ。

餃子、定食、チャンポン、ホルモン、丼物の文字が染め抜かれた、

白布の暖簾をわけて引き戸を開けると“海月キューティーワールド”が広がった。

 

右奥のこあがりテーブル席に液晶テレビが設えてある。

画面の斜向かい、カウンター席との通路に車椅子にのった80歳すぎのご老人。

テレビを観ながら黙ってビールで晩酌中だ。

彼とテーブルを囲むように、同世代のおばあちゃん、

エプロン姿の40代の女性がいた。
「何人ですか?」
ああ、よく声が通るこの40代の女性が店主らしい。

ちょっと明るく染めたショートカットヘアに銀縁の丸いメガネ。

山吹色のエプロンとチェック柄の赤いシャツが似合う。

雰囲気で分かる。

いろいろと手際が良さそうだ。

 

つぶらな黒い瞳がキュートなおばあちゃん。

晩酌中のテーブルから立ち上がると

「お飲み物は何になさいますかね?」

ああ、このおばあちゃんが店主なのだ。

 

身長は150センチぐらいだが背筋はまっすぐ、

愛くるしく優しい笑顔が印象的である。

「あんた有名人に似とるね」

すると、キッチンのなかに入った40代の女性が、

元気な明るい声で

「いやぁ、アタシは有名人の息子さんかと思った」

 

愛想笑いをフェードアウトしながら、レモン酎ハイを注文。

入り口に一番近いカウンター席に座る。

車椅子のご老人は、あいかわらずテレビにクギ付けだ。

空間演出は大切な表現手段である

キューティーなのはファーストコンタクトだけではない。
空間もスペシャルだ。

店の正面奥に住居に続く家屋の引き戸がある。

その脇の壁には大相撲カレンダー&ANAカレンダー。

 

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右には小あがりのテーブル畳席が2つある。

壁にはいわゆる“定食屋さんメニュー”が。

特筆すべき点は墨文字の力強さだ。

 

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天井からは空気が抜けてフニャフニャになった3体のビニール飛行機が吊るされている。

 

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よくみるとこれもANAだ。

そして壁には筆文字で「海月」としたためられたB1サイズのカレンダー。

この店にはいくつカレンダーが必要なのだろうか。

お品書きの上方には赤と銀色のキラキラテープが。

目線に気がついた40代の女性が

「いま特別に店内はクリスマス仕様なんですよ」

と微笑まれた。

彼女がたたずんでいるオープンキッチン。
壁と柱はミントブルーに塗られている。

 

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いままでこんなファンシーカラーに彩られた“食堂キッチン”を見たことがない。

調理台の上には新聞紙がひかれ、むき出しの大口コンロが2つ。

それぞれ中華鍋が置いてある。

厨房に沿うようにカウンター席のイスが7つならぶ。

カウンター席の頭上には可愛くデフォルメされた魚のイラストが泳ぐ小さな暖簾が。

梁には大相撲の有名関取たちの「手型色紙」が10いくつ貼られている。

 

視線をカウンターに落とすと、なぜか平皿にキウイフルーツの山。

 

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ふりかえって入り口脇の壁を見やると、デイサービスセンターのカレンダー。

同じ空間に4つ目のカレンダーだ。

背後のビールショーケース、足元にはアロエ、そうです、アロエの鉢がある。

 

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このあたりの演出がタマラナイのだ。

老舗食堂のハムエッグは不滅です

壁の墨文字メニューを吟味する。

こう断言&宣言したい!

【福岡の老舗食堂には、ハムエッグがある】

うふふ、どーですか!

どーですか、福岡県民のみなさん!!

 

壁には小さなプラスチック製のホワイトボードがあった。

本日のおすすめだ。

 

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おばあちゃんがレモン酎ハイを持ってきてくれた。

「アタシがつくったショウガの酢漬け、あるけど食べるね」

「はい」

「今日は特別やけんね。ほら、アーンして」

カウンターに無造作に置いてあった瓶を手に取り、
テーブルにあった割り箸を2つに。

「はい、アーン」

「アーーーーン」

 

もはやこの店で怖いものはない!

 

そろそろアテを決めよう。

そんな話になり、

ホワイトボードから「ホルモンの唐揚げ」「エビの天ぷら」

墨文字から「餃子」「ハムエッグ」をチョイス。

いやぁ、そこからの“キッチン劇場”は素晴らしかった。

ホルモンとエビの下ごしらえは素早く、包丁さばきは鮮やか。

揚げ油を温めつつ、まずはハムエッグ。

 

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いやーん、ハムエッグ。

惜しげもない、ハム。

目玉の黄身はそれぞれレアとウェルダンだなんて!

こんなミラクルがあるだろうか。

たぶん偶然だろうけど。

 

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ホルモンとエビの“アゲモノブラザーズ”の下味は塩のみだ。

添え物はキャベツの千切りにピエトロのスタンダードなドレッシング。

イイ、この潔さがイイ!!

 

しっかり焼いた餃子の中身は細かい刻み野菜がメイン。

サイズと皮の厚さは中華料理店だが、中身はテムジン、といったところか。

 

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酎ハイの後は瓶ビールオンリー。

3軒目なのに気がつけば5本も空けた。

「あのう、お手洗いは?」

「45番の方は奥の左手に進みなされ」

おばあちゃん、大好きです。

 

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煮物やら、吉本新喜劇のカステラ饅頭やら、

どんどん、持ってきてくれます。

80歳なんですって。

 

〆は「ちゃんぽん」と「特製皿うどん」。

2つの火口で同時につくる、

おばあちゃんの息子の嫁ユミコさん。

手際はどこまでいっても見事です、はい。

麺もしっかり焼かれています。

味も、うまか。

 

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あー、食べすぎ、飲みすぎ、ぶひひひひーん。

早良区室見にある食堂のなかでは最古参。

「くらげ」ではなく「かいげつ」と読む。

 

 

やさしい、おいしい、なんだか、うれしい――

 

 

「海月」はそんな店だ。

45番の意味は分かった?

店内のカレンダーは全部で6つ。

ほら、どこまでもキュートでしょ?

 

くりしん

でぶグルメライター

昭和40年代生まれの自称“でぶグルメライター”。crossFM「baysidefestival」の「ぶらりふとり旅」ではランチ情報&体重をオンエア中。

 

■店舗情報

すぐ近くで8年、そのあとはこと地で38年続く

店名 海月
ジャンル 定食、食堂
TEL 092-831-2622
住所 福岡県福岡市早良区室見1-3-3
交通手段 地下鉄室見駅より、徒歩で5分。
営業時間 11:00~24:00
定休日 第2・4日曜日

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